ゴールキーパーは“変態”? サッカーのポジションをキャラ付けしてみた。
W杯前必読。こんな風にサッカーを観てもいいんじゃない?
■サイドバックは“秘書”
タケ
なるほどよく分かりました! では次にサイドバックとかはどうでしょう。
ヒデ
そうだなあ……。ズバリ“秘書”だね。
タケ
その心は?
ヒデ
主従関係における“従”の選手だからさ。たとえば長友佑都がインテルに移籍したばかりのころ、長友の前のサイドハーフにはサミュエル・エトーというカメルーン人のスター選手がいたんだ。長友はオーバーラップして攻撃参加するのが得意な選手だけど、それをするとエトーが気持ち良くドリブルで仕掛けられないから、長友は監督から、オーバーラップを自重しろと言われていたんだ。
タケ
サイドバックって、そういう気遣いが求められるんですか。知らなかったです!
ヒデ
そう。味方をサポートしたりする仕事が多いんだ。だから結婚するなら、気遣いのできるサイドバックがおすすめ(笑)。縁の下の力持ちとして、あっちのわがままなサイドハーフをサポートしたり、こっちのアクの強いセンターバックの後ろをカバーしたり、「気の利く」選手じゃないといけない。どんなにドリブルがうまくても、スピードがあっても、周囲の持ち味を殺すような選手は良いサイドバックとは言えない。そんな特徴があるポジションだね。
タケ
へ~それはちょっと意外でした。長友選手とか内田選手とか迷いなくドリブルで切れ込んでいく、いい意味で「何も考えていない」選手というイメージが失礼ながらあったんです。
ヒデ
それは少し古いサイドバック観だね。昔はひたすら飛脚みたいに上下動するポジションとして認識されていたけど、最近は攻撃参加にしても、サイドをかけ上がるだけじゃなくて、中央へ上がって行って司令塔っぽく振る舞ったり、よりユーティリティーに、チームで働ける選手が新しいサイドバック像として目立ってきてるね。
タケ
じゃあ次は、ボランチはどうですか?
ヒデ
そうだなあ……。このポジションは技巧派とか、闘将とか、バランサーとか、本当にいろいろなタイプの選手がいるんだけど、一言でいうなら“哲学者”かな。チームのスタイルはボランチに左右されると言ってもいいと思う。どんなにすごいストライカーも、センターバックも、ボランチという哲学の上に乗ってプレーするしかない。ボランチの不調は全ポジションに影響するよ。調子の波が少ない選手のほうが、向いているポジションとも言えるかな。
タケ
ポジションの場所も、広いサッカーフィールドのちょうど真ん中にいますよね。
ヒデ
そうなんだよ。スペインではチームの軸を表す“ピボーテ”というコトバがあるんだけど、ボランチの選手をそう呼ぶことが多いんだ。パスさばきの巧いシャビやブスケッツがボランチをやっているバルセロナ、ダイナミックでパワフルなランパードがボランチをやってるチェルシー……。ボランチの個性は、チームの見ためというか、サッカーのイメージにぴったりと一致してくる。
タケ
なるほど、じゃあ次に少し細かいポジションですが攻撃的MFなんかはどうでしょう。
ヒデ
そうだなあ……。会社で言うなら“3年目社員”だね。
タケ
あっ僕です! と思いましたが、僕はまだ2年目でした。でもなぜか会社の重役の方からは「あいつ3年目だろ」と思われているらしいんですよ。ふてぶてしく見えるからでしょうか。まあ完全にどうでもいい話ですね(笑)。
ヒデ
まあ要は一番組織・チームにとっての活力になるべき存在なんだよね。経験を積んで引き出しがいろいろ増えてきたから、ドリブル、スルーパス、シュート、クロスなど、いろんな仕事が求められてくる。アイデアをどんどん出していくべき立ち位置。だけどもう新人気分じゃダメなんだぞ。守備もしっかりやりなさい」と責任感も求められる、そんなポジション。
タケ
なるほど~、新入社員でもなく10年戦士でもなくかといって2年目でもなく……。「3年目」ってところが絶妙ですね。